薬局薬剤師のプレアボイド活動

薬局薬剤師のプレアボイド

プレアボイドとは、prevent and avoid the adverse drug reaction(薬による有害事象を防止・回避する)という言葉を基にした造語です。ツルハグループでは、薬剤師の薬学的介入により、副作用や相互作用、治療効果不十分など患者さまの不利益を回避・軽減した事例を収集しており、好事例については各店への共有を行っております。

事例紹介

薬剤師が有害事象を未然に防いだ事例を通じて、薬局での取り組みを紹介します。

医療用医薬品は、医師により、個々の患者さまの病状に合わせて処方されております。本サイトで提供しているのは個別の事例であり、これらを元にして医学的判断をすることや、お薬を変更することなどを推奨するものではありません。わからない点がある場合は必ず医師、薬剤師、看護師とご相談ください。


事例01 体質に合わせてお薬のチェックを実施

患者さまの体質に合わない可能性がある添加剤が含まれているお薬を避けた事例


  • 【処方内容】
  • フルチカゾンプロピオン酸エステル/ホルモテロールフマル酸塩水和物吸入剤125エアゾール56吸入用(気管支喘息の治療に用いるお薬)
  • 1回2吸入 1日2回 投与

気管支喘息で継続治療しているが、今回から初めての吸入のお薬に変更になった。このお薬は添加剤に「無水エタノール」を含んでいるため、薬剤師は、患者さまにアルコールに対してアレルギーが無いか確認したところ、重度のアルコール過敏症であるとわかった。

薬学的介入前

フルチカゾンプロピオン酸エステル/ホルモテロールフマル酸塩水和物125吸入剤56吸入用(添加剤として無水エタノールを含む)

薬学的介入後

ブデソニド/ホルモテロールフマル酸塩水和物吸入剤60吸入用


フルチカゾンプロピオン酸エステル/ホルモテロールフマル酸塩水和物125吸入剤56吸入用には無水エタノールが添加剤として使用されており、患者さまは、重度のアルコール過敏症であることを医師へ伝えたところ、処方内容が変更になった。吸入剤には様々な形状のデバイスがあり、それぞれの形状に合わせて吸入しやすくするためなどの目的で、添加剤が含まれている。

薬局での取り組み

患者さまの体質をお伺いさせていただき、お体に合わないことが予想される成分は、お薬の主成分だけではなく、添加剤も含めて確認します。

事例02 患者さまの検査数値に関する不安を伺い、医師に提案

お薬の変更後に糖尿病の検査値が悪化した事例


  • 【処方内容】
  • アナグリプチン/メトホルミン塩酸塩配合錠HD(血糖値を下げるお薬)
  • 1回1錠 1日2回 朝夕食後

患者さまから「お薬を変更してしばらく経つが、前より検査の結果が悪くなっているようだ。今飲んでいるお薬に変えた影響がある気がしており、以前のお薬の方が合っている気がする。」とお聞きした。このことについてまとめた内容を、患者さまにご了承いただき、文書にして医師へお渡しした。

薬学的介入前

アナグリプチン/メトホルミン塩酸塩配合錠HD

薬学的介入後

以前のお薬に戻った


文書を送った次の日に医師から連絡があり、「もう少し様子をみてからと思ったが、本人の心理的に合わないようであれば薬を変更しようと思う。このようなことを報告していただけると助かるので、これからもお願いしたい。」と確認し、お薬が変更になった。

薬局での取り組み

忙しい診療の中で、患者さまのお気持ちがうまく伝わっていないことが考えられる場合には、患者さまの状況をまとめた文書(トレーシングレポート)にしてお送りすることで、患者さまの治療継続のサポートをしています。

事例03 用法用量内で生活リズムに合わせて最適な飲み方を提案

患者さまの食事の時間に配慮したお薬の飲み方を提案した事例


  • 【処方内容】
  • カボザンチニブ錠20mg(がんの治療に用いるお薬)
  • 1回2錠 1日1回 朝食1時間前

新たな治療のために1週間前から服用し始めたお薬だが、朝は時間に余裕がない事があり、服用30分後くらいに朝食を摂っているケースがあることがわかった。

薬学的介入前

カボザンチニブ錠20mg 1回2錠 1日1回 朝食1時間前

薬学的介入後

カボザンチニブ錠20mg 1回2錠 1日1回 朝食後2時間


カボザンチニブ錠は食事の1時間前から食後2時間までの間に服用すると、お薬の作用が強く出てしまう可能性がある成分であり、副作用の危険性があると考えた薬剤師は、服用が可能なタイミングを患者さまに確認した。患者さまは「朝ごはんを食べて、2時間後であれば飲めると思う」とおっしゃられたため、電話で医師へ朝食1時間前から朝食2時間後への変更を提案した。

薬局での取り組み

食事の影響があるお薬については、お薬を飲むタイミングが難しくないかを生活習慣と照らし合わせて確認し、最適なタイミングになるように提案を行います。

事例04 患者さまの生活状況にあわせたお薬を提案

週1回飲む骨のお薬から4週に1回飲むお薬への変更を提案した事例


  • 【処方内容】
  • アレンドロン酸錠35mg(骨粗鬆症を治療するお薬)
  • 1回1錠 1週間に1回、朝起床時に水約180mLとともに服用し、少なくとも30分は横にならず、飲食などを避ける

87歳で、日中横になっていることが多い患者さまに対して、1週間に1回30分は横にならないようにする必要があるお薬が処方されていた。また、この患者さまは関節リウマチ(免疫異常により関節の痛みや腫れを引き起こす病気)を患っており、起床した直後は特に関節がこわばっており起きていることが辛いことがあるようだった。このままだと、お薬を継続することが患者さまの負担になることが考えられた。

薬学的介入前

アレンドロン酸錠35mg 1回1錠 1週間に1回、朝起床時に水約180mLとともに服用し、少なくとも30分は横にならず、飲食などを避ける

薬学的介入後

ミノドロン酸錠50mg 1回1錠 4週間に1回、朝起床時に水約180mLとともに服用し、少なくとも30分は横にならず、飲食などを避ける


そこで薬剤師は、1週間に1回飲むお薬ではなく、頻度を減らすことができる4週間に1回飲むお薬か、注射のお薬への変更を提案した。次回処方時には4週間に1回服用するお薬に変更になっており、患者さまはお薬を継続することができている。

薬局での取り組み

患者さまの病状やライフスタイルを考慮した上で、最も負担の少ないお薬を提案しています。

事例05 お薬を飲んだ時期と症状から副作用の可能性を発見

血圧を下げるお薬で歯茎の腫れや痛みが出たため副作用を疑った事例


  • 【処方内容】
  • アムロジピン錠2.5mg(血圧を下げるお薬)
  • 1回1錠 1日1回 朝食後

1ヶ月ほど血圧を下げるお薬を服用している患者さまに、今回も同じ薬が処方され、当薬局に来局した。薬剤師は「歯茎の腫れや痛みはありませんか」と確認したところ、お薬を飲み始めてから歯茎に違和感が出てきて、現在は、入れ歯が合わなくなったため歯科に通っていると確認した。

薬学的介入前

アムロジピン錠2.5mg(カルシウム受容体拮抗薬)

薬学的介入後

アジルサルタン錠20mg(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)


服用して1ヶ月であり、歯茎の違和感がお薬によるものの可能性が高いと考え、医師へ連絡したところ、歯茎の腫れなどを引き起こさない別の薬剤に変更になった。

薬局での取り組み

お薬によっては副作用が出る時期が異なり、飲んでからすぐに出ない場合があります。お薬を飲んでいる間は薬剤師から気になる体調変化がなかったかどうか確認させていただいています。